QuadCurveイコライザーモジュール

QuadCurveイコライザーモジュールによって、トラックの周波数スペクトルを微調整できます。

QuadCurveイコライザーモジュールには、フルサイズ表示とコンパクトサイズ表示があります。コンパクトサイズ表示では、低域、中低域、中高域、および高域のバンドにおける、周波数、Q、およびレベルのコントロールが非表示になります。インスペクタまたはコンソールビューにおいて、表示するProChannelのコントロールが多過ぎる場合はコンパクトサイズ表示に切り替えることができます。

インスペクタでコンパクトモードの表示/非表示を切り替える：インスペクタの下部にあるDisplayメニューをクリックし、モジュールオプション > ProChannelをポイントして、コンパクトEQモジュールを選択します。

コンソールビューでコンパクトモードの表示/非表示を切り替える：コンソールビューのオプションメニューをクリックし、ProChannelをポイントして、コンパクトEQモジュールを選択します。

より高い分解能でつまみを調整するには、Shiftキーを押したままつまみを調整します。

パラメーターの値を入力するには、パラメーターの下にある値編集ボックスをダブルクリックします。

図425. QuadCurveイコライザーモジュール：

A： クリッピングLED B： QuadCurveイコライザー有効/無効 C： スタイル（Hybrid、Pure、E-Type、G-Type） 
D： グラフ E： バンド有効/無効（低域、中低域、中高域、高域） F： 中心周波数 G： Q H： レベル 
I： ハイバンドフィルタータイプ J： カットオフ周波数（ローパス） K： ローバンドフィルタータイプ 
L： カットオフ周波数（ハイパス） M： ハイパスフィルター有効/無効 N： ハイパスフィルタースロープ（Q） 
O： グロス有効/無効 P： ローパスフィルタースロープ（Q） Q： ローパスフィルター有効/無効

図426. イコライザーの6つのバンド

A： 低域バンド（赤） B： 中低域バンド（黄） C： 中高域バンド（緑） D： 高域バンド（青） E： ハイパスフィルター（黒） F： ローパスフィルター（黒）

QuadCurveイコライザーモジュールには、次のコントロールがあります。

クリッピングLED：QuadCurveイコライザーモジュールへの入力信号がクリッピングされているかどうかを示します。ProChannel信号チェイン内でひずみが生じている場合、クリッピングLEDによってどこのモジュールでクリッピングが生じているかを特定することができます。

QuadCurveイコライザー有効/無効 ：QuadCurveイコライザーモジュールを有効/無効にします。

スタイル：イコライザーアルゴリズムを指定します。透過的なイコライゼーション（Pure）または特徴のあるイコライゼーション（Hybrid、E-Type、およびG-Type）を選択します。スタイルによって、Q設定およびレベル設定の相互作用は異なります。スタイルには次のようなものがあります。

表 188. EQのタイプ 

スタイル	説明	推奨	カーブ
Hybrid	非常に汎用性の高い非対称カーブが得られます。このカーブは、E-Typeで周波数をブーストしたときのカーブと似ていますが、周波数をカットしたときのQレスポンスは一定です。 ブーストした場合にゆるやかに埋めるEQに適しています。また、カットの際に、問題を起こしやすい共振周波数を正確に変更できます。	ドラムとパーカッションの共振の抑制 周波数に関する問題解決と非常に精密な周波数の修正
Pure	柔らかくゆるやかなカーブを持つ、クリーンで透過的なマスタリングスタイルイコライザーです。	全体的なEQ バス マスタリング 幅広いスペクトル全体に微妙な変更を加える必要がある場合
E-Type	昔のハードウェアイコライザーを模倣するカーブが得られます。このモードでは、すべてのレベル設定でQレスポンスが一定になります。そのため、低ゲイン設定でQを狭くできます。これは特にドラムに対して有効です。ゲインの調整時に効果を維持するにはQ設定も調整する必要があるため、このモードはEQの全体的な修正や微妙な修正には適していません。Qとレベルを別々に制御できるため、非常に実用的で柔軟性の高いEQです。	ドラム 精度と問題解決 低ゲイン設定で比較的高いQが必要な場合
G-Type	現代的なハードウェアイコライザーを模倣するカーブが得られます。このモードでは、Qレスポンスは動的です。つまり、レベルを上げるとQが下がり、低ゲイン設定では有効帯域幅が広がります。これは、ゆるやかなQカーブを持つ音楽用EQです。	全体的なEQ 楽器およびボーカルに対する微妙な調整 音楽の音のバランスを広範囲で調整

グラフ： イコライゼーションカーブを表示します。各バンドには独自の色が付けられており、すべてのバンドの合計値が白い線で表示されます。グラフを操作することによってイコライザーを調整します。詳細については、QuadCurveイコライザーのグラフを操作するを参照してください。

バンドのゲインを調整するには、上または下へドラッグします。

バンドの周波数を調整するには、左または右へドラッグします。

バンドのQを調整するには、Altキーを押しながら上または下へドラッグします。

パラメーターをより正確に調節するには、Shiftキーを押したままドラッグします。

バンドをオンまたはオフにするには、グラフのバンド範囲をクリックします。

すべてのPlot分解能を変更するには、コンソールビューの小さいQuadCurveイコライザーのグラフ内で右クリックして表示されたメニューから目的の分解能を選択します。以下の分解能があります。

Auto（グラフを動的に表示、編集）

6 dB

12 dB

18 dB

バンド有効/無効：低域 、中低域 、中高域 、および高域 の各バンドを有効/無効にします。バンドを有効にすると、イコライゼーションによって処理できるようになります。つまみとグラフのカーブは、バンドごとに色分けされています。

低域：赤

中低域：黄

中高域：緑

高域：青

中心周波数：選択したバンド（低域、中低域、中高域、高域）の中心周波数を設定します。各バンドの有効な周波数の範囲は次のとおりです。

表 189. 各バンドのデフォルトの中心周波数 

バンド	周波数範囲	デフォルトの中心周波数
低域	20.0～20000.0Hz	79.6 Hz
中低域	20.0～20000.0Hz	317 Hz
中高域	20.0～20000.0Hz	1261.9 Hz
高域	20.0～20000.0Hz	5023.8 Hz

Q：選択したバンド（低域、中低域、中高域、高域）の幅を設定します。これによって、バンドの調整時に影響を受ける周辺周波数の量が指定されます。Q値を小さくするとフィルターバンドの帯域幅が大きくなり、その結果、サウンドのシェイピングがスムーズになって、「不自然な音色変化」がほとんど聞こえなくなります。ただし、中心周波数から広い周波数範囲が影響を受けるので、フィルタリングの精度が低くなります。Q値を大きくすると帯域幅が縮小され、フィルターの精度は向上しますが、周波数スペクトルで鋭いディップやピークが作成されます。Qの幅はオクターブ単位で表されます。有効な範囲は0.1～16.0で、デフォルト値は1.3です。

レベル：選択したバンド（低域、中低域、中高域、高域）をブーストまたはアッテネートします。有効な範囲は-18.0～+18.0dBで、デフォルト値は0dBです。レベルコントローラでは、選択したEQタイプ（Hybrid、Pure、E-Type、またはG-Type）に応じて、Qパラメーターが操作されます。

ローバンドフィルタータイプ：ローバンドのベルモードとローシェルモードを切り替えます。ローバンドのベルモードでは、中心点の周囲の一定範囲の周波数がベル形にブーストまたはアッテネートされます。ローバンドのローシェルフモードでは、設定された周波数とそれ以下のすべての周波数がブーストまたはアッテネートされます。

ハイバンドフィルタータイプ：ハイバンドのベルモードとハイシェルモードを切り替えます。ハイバンドのベルモードでは、中心点の周囲の一定範囲の周波数がベル形にブーストまたはアッテネートされます。ハイバンドのハイシェルフモードでは、設定された周波数とそれ以上のすべての周波数がブーストまたはアッテネートされます。

ローパスフィルター有効/無効 ：ローパスフィルターを有効にします。このフィルターは、ローパス周波数を上回る高周波数をアッテネートし、その他の周波数はフィルター処理せずに通します。

スロープ（ローパス）：ローパスフィルターでローパス周波数を上回る周波数をアッテネートする比率を指定します。スロープはdB/オクターブで表されます。範囲は6～48dBで、6dBの幅で指定できます。

カットオフ周波数（ローパス）：ローパスフィルターのカットオフ周波数を指定します。

ハイパスフィルター有効/無効 ：ハイパスフィルターを有効にします。このフィルターは、ハイパス周波数を下回る低周波数をアッテネートし、その他の周波数はフィルター処理せずに通します。

スロープ（ハイパス）：ハイパスフィルターでハイパス周波数を下回る周波数をアッテネートする比率を指定します。スロープはdB/オクターブで表されます。範囲は6～48dBで、6dBの幅で指定できます。

カットオフ周波数（ハイパス）：ハイパスフィルターのカットオフ周波数を指定します。

グロス ：ユニークなグロスフィルターを使用して、ハーシュネスを発生させずに、自然な息づかいと存在感をハイエンドに追加します。

QuadCurveイコライザーフライアウトパネル（Platinumのみ）

QuadCurveイコライザーフライアウトパネルは、EQコントローラを操作するためのより大きなインターフェースを表示します。フライアウトパネルはマルチタッチをサポートし、統合FFTスペクトルアナライザーが組み込まれています。

QuadCurveイコライザーフライアウトパネルは、インスペクタビューまたはコンソールビューのProChannelから表示できます。

図427. QuadCurve EQフライアウトパネル。

A： クリックしてフライアウトパネルを開く B： 入力メーター C： EQ plot D： FFTスペクトルアナライザー E： 出力メーター F： フライアウトパネルを固定 G： フライアウトパネルを閉じる

FFTスペクトルアナライザーには、あらゆる周波数の瞬間的なレベルが表示されます。縦軸は振幅（ダイナミックレンジは0から-72dB）、横軸は周波数を表します。

フライアウトパネルを開く方法

次のいずれかを実行します。

ProChannelでQuadCurveイコライザーモジュールのズームボタン をクリックします。

小さなProChannel EQカーブ表示の空白部分をダブルクリックします。

タッチディスプレイを使用して、QuadCurveイコライザーモジュールのヘッダーバーをスワイプします。

メモ：フライアウトパネルは一度に１つだけを表示できます。別のフライアウトパネルを開くと、それまで開いていたフライアウトパネルは自動的に閉じます。

フライアウトパネルを閉じる方法

次のいずれかを実行します。

フライアウトパネルの外側（クリップ表示部など）をクリックします。

フライアウトパネルの右上隅のX（閉じる）ボタンをクリックします。

メモ：次のジェスチャーではフライアウトパネルは閉じません。 4 フライアウトパネルの親ProChannelモジュールのクリック。 4 トラックビューまたはコンソールビューの親トラックのチャンネルストリップのクリック。 4 タイムルーラのクリック。 4 コントロールバーのクリック。

フライアウトパネルを開いたままにする方法

フライアウトパネルの右上隅にあるピンボタン をクリックします。

フライアウトパネルは次のいずれかが起きるまで開いたままになります。

トラックフォーカスの変更。

親ProChannelモジュールが閉じることになる他の主要なUIの変更、たとえばインスペクタのフローティングなどの変更が生じた。

 

関連項目：

QuadCurveイコライザーのグラフを操作する

EQ設定をコピーする

QuadCurveイコライザーフライアウトパネルのタッチ操作

ProChannel（PlatinumおよびProfessionalのみ）

ProChannelの使用

ProChannelのモジュールとコントロール

PC76 U-Type Channelコンプレッサーモジュール（Platinumのみ）

PC4K S-Typeバスコンプレッサーモジュール（Platinumのみ）

Tube Saturationモジュール（Platinumのみ）

Softube Saturation Knob

Console Emulatorモジュール（Platinumのみ）

FX Chainモジュール

Tape Emulatorモジュール（Platinumのみ）

REmatrix Solo convolution reverb

Bark of Dog

Panipulator

GRIT（サチュレーション）モジュール

MAX（ボリュームマキシマイザー）モジュール

SPACE（リバーブ/アンビエンス）モジュール