エフェクト（FX）の追加

この時点で、基本的なミックスになっているはずです。だいたいすべて思い通りの設定になっていると思いますが、一部のオーディオFXを使用してすべてを完璧になるまで調整していきましょう。オーディオトラックに直接配置されるエフェクトはインサートといいます。

作業を行うオーディオトラックを選択します。

1.	コンソールビューを開き、作業を行うオーディオトラックのFXラックにマウスカーソルを合わせます。FXラックが表示されていない場合は、コンソールビューモジュールメニューをクリックし、FXラックを選択します。

2.	FXラックを右クリックし、ポップアップメニューを表示させます。

3.	オーディオ FX > DirectX > CakewalkまたはSonitus:fxとカーソルを合わせエフェクトの一覧を表示させます。表示されたエフェクトの中から、使用するエフェクトをクリックします。

選択されたエフェクトは、FXラックに挿入されます。楽曲を再生し、プラグインのコントロールを試してみます。サウンドの顕著な変化が聴いてとれます。

4.	FXラックに挿入されたエフェクトを右クリックして、削除を選択します。挿入したエフェクトが削除されます。

一覧表示されたエフェクトプラグインはそれぞれある特定の方法で音に変化を与えるように設計されています。以下のリストに付属のプラグインの一部を簡単に示し、通常の使用目的について説明します。

Compressor/Gate：このプラグインは音量に作用します。音量に制限をかけることができます。また、完全にオフになる前に音量をどこまで下げるか制限することもできます。

EQ： EQは特定の周波数帯域を強調するまたは抑えることができます。たとえば、いずれかのトラックでピッチの高いバズ音がする場合、EQでインストゥルメントのサウンドに影響を及ぼさずにその高い周波数を下げることができる場合があります。

Reverb：リバーブは人工的な空間を作り出します。部屋の壁に音が反射して起こる自然なエコーに似たエコーを作り出します。

Delay：ディレイプラグインは、エコーを作りだします。ただし、一般にリバーブよりはっきりしています。ディレイは、多くの場合、リズミカルで音楽的に音を反復します。

以上が、このチュートリアルで主に扱うエフェクトです。ただし、その他のエフェクトも利用可能であり、それぞれミックス内でどのように使用できるか試すことをお勧めします。特定のプラグインについてのオンラインヘルプを参照するには、そのプラグインのいずれかの操作子をクリックして、コンピュータのキーボードでF1キーを押します。

コンプレッサー

曲のトラックレベルを調整している際に、一部のトラックが過度にダイナミックであることに気づく場合があります。音量が大きすぎることもあれば、小さすぎることもあります。最近のほとんどの音楽では、ミックスの重要要素を特定のボリューム範囲に集中させます。これはコンプレッサーを使用して行います。

コンプレッサーの目的は、楽曲またはサウンドのダイナミックレンジを制限することです。コンプレッサーを使うと、音量の大きい部分の音量が下がり、ほぼ均一なレベルになります。この均一なレベルを上げて、ミックス内でより具体的に合わせていくことができます。

多くのコンプレッサーは、音量のピークを一定時間そのままの状態に維持できるオプションがあるため、「パンチ感」を追加することができます。

バスドラムで試してみましょう。

1.	Compressor/GateプラグインをKickというトラックに追加します。

2.	スレッショルドを調整します。スレッショルド値は、コンプレッション処理を開始するdBレベルを表します。

3.	アタックを調整します。アタック値は、入力オーディオのレベルがスレッショルドに達してから、コンプレッサーがそれに反応するまでの時間を表します。

4.	レベルを目的の出力ボリュームに調整します。

この手法はどのトラックにも適用できます。ミックスの中でボーカルを目立たせるときには特に便利です。

イコライジング

各オーディオトラックには、専用のトラックイコライザー（EQ）があります。このイコライザーは、インスペクタおよびコンソールビューのFXラックの上に表示されます。

図63. ProChannelモジュール（PlatinumおよびProfessionalのみ）

A：イコライザーのグラフ

図64. Track EQ（SONAR Artistのみ）

A：EQ Plot

EQの主な使用法の1つは、異なるインストゥルメントが周波数スペクトルにおいて互いの領域に入らないようにすることです。特定の周波数範囲に振り分けたあるインストゥルメントが、別のインストゥルメントの周波数範囲にまたがっていることがあります。これはドラムとベースでよく発生します。そのようなインストゥルメントのいずれかについて重なっている周波数範囲を下げると、他のインストゥルメントをミックス内でより目立たせることができます。

では、試してみましょう。

1.	Tension ClimbingとChirppy Synthというトラックをソロにします。

2.	Sonitus:fx EqualizerプラグインをTension Climbingトラックに追加します。

Sonitus:fx Equalizerインターフェースが表示されます。

3.	番号の付いたノードのいずれかをつかんでドラッグします。選択したバンドを、周波数範囲がChirppy Synthと干渉するまで上げていきます。干渉する点が見つかったら、ノードを下方にドラッグして選択したバンドを下げていきます。

ヒント：1kHz前後でバンドをカットしてみてください。

可能な限り最高の結果が得られるように、EQの他の設定を試してみてください。コンプレッサープラグインと同様、この手法はどのトラックにも適用できます。

リバーブとディレイ

次に、曲に一定の空間を追加します。これを行うには、タイムベースのエフェクトを使用します。

最初に、ディレイエフェクトを追加します。ディレイエフェクトは、インストゥルメントを非常に強調することができます。チュートリアルプロジェクトでは、ディレイエフェクトをChirppy Synthというトラックに追加します。現在は、非常にドライで活気のない音になっています。ディレイをかけると音に深みが増します。

1.	Sonitus:fx DelayプラグインをChirppy Synthに追加します。

2.	以下のパラメーターを次のように設定します。

Tempo Sync = Host

Factor=1/2（Left、Rightともに設定します）

これは空間系エフェクトをかけ始めるのによい出発点です。新しいエフェクトプラグインに慣れるもっとも良い方法は、積極的に各パラメーターを変更してみることです。次に、プロジェクトにいくらかリバーブを付加します。リバーブエフェクトは、人工的な部屋のようなものです。各トラックに別々のリバーブを付加することができますが、複数のリバーブを同時に付加すると、音が濁ることがあります。これは、私たちの耳が本来、壁からの音の反射を聞くことに慣れているためかもしれません。各トラックのリバーブは、ある部屋に1つのインストゥルメント、また別の部屋に別のインストゥルメントがあるように聞こえます。

その代わりに、1つのリバーブエフェクトをバスに追加してから、各トラックから様々な音量でそのバスにセンドします。ここでは、SONARの高度なミキシング環境によって柔軟性の高い作業ができます。各トラックにセンドを追加し、各トラックからどの位の音量でバスにセンドするかを調整します。実際の音響空間と性質が似ているため、より自然な音になります。各トラックからセンドされる音はすべて、リバーブを使って作成した「仮想の部屋」で互いに影響し合います。

メモ：「バス」という用語の詳細については、ステレオバスを参照してください。

コンソールウィンドウでリバーブのセンドを作成するには、次の手順を実行します。

1.	すべてのトラックにこのセンドを追加するには、編集 > 選択 > すべてを選択を選択し、すべてのトラックを選択します。

2.	センド欄を右クリックし、センドアシスタントを選択します。コンソールビューにセンド欄が表示されていない場合は、コンソールビューのモジュールメニューをクリックし、センド/バンク/パッチを選択します。

センドアシスタントが表示されます。

3.	センドアシスタントを次のように設定します。

新規バスをクリックします。既存のバスにトラックをルーティングするのではなく、新しいリバーブのバスを作成します。

ステレオを選択します。

バス名にReverbと入力します。

エフェクトの選択をクリックし、オーディオFX > DirectX > Sonitus:fx > Reverbを選択します。

プリフェーダーが選択されていないことを確認します。

エフェクトプロパティページを表示するチェックボックスをオンにします。

バスアウトプットリストで、Masterを選択します。

4.	OKをクリックします。

リバーブプロパティページが表示されます。

5.	Reverb量を0.0 dB、Dry量を-Infに設定します。

Reverbというセンドコントロールが各トラックに追加されていることを確認します。センドを有効/無効にするには、各トラックのセンド欄にあるON/OFFボタンをクリックします（ON/OFFボタンを表示するには、センド名をポイントします）。

センドを有効にすると、再生中にリバーブエフェクトが聞こえます。各トラックに適用するリバーブの量を調整するには、センドのLEVELコントロールを使用します。

リバーブをオンにする各トラックのセンドコントロールを有効にします。おそらく、キックドラムとベースギター以外のすべてのトラックにわずかでもリバーブをかけたいと思われるでしょう。

 

関連項目：

ボリュームとパン

オートメーションの使用