移調楽器の記譜

楽器によっては、歴史的な理由により、実際のキーから移調して表記されるものがあります。たとえば、トランペット（Ｂ♭）のパート譜は、実際に演奏されるキーよりも全音高く表記され、アルトサックス（Ｅ♭）のパート譜は、長6度高く表記されます。元来、演奏者は、適切に移調して、これらの楽器の楽譜を読んだり演奏したりしてきました。

SONARは、トラックインスペクタのキー+ボタンを使用することによって、こうした移調楽器に対応します。まず、移調されたノートをトラックに入力または録音します。その後、正しいキーで演奏されるよう、その楽器に合った適切な移調幅をキー+コラムに設定します。たとえば、Ｂ♭トランペットの楽譜の場合、実際に演奏されるピッチよりも全音高くトラックに入力し、キー+を-2に設定して半音2つ分下がるようにしておくのです。ただし、トランペットがすべてＢ♭のキーというわけではありませんので注意してください。

B♭管のトランペットの場合

1.	B♭管のトランペット用に描かれた楽譜のとおりに、譜面ビューに音符を入力して再生すると、トランペットで演奏するより2半音高く再生されてしまいます。これを、トランペットで演奏したのと同じピッチで再生されるようにします。

2.	トラックインスペクタで、トランペットのパートを入力したトラックのKey+をクリックし、マイナスキーを2回押して-2にします。

これにより、2半音低い音で再生されるようになります。ただし、譜面ビューの表示は入力したときのままです。これにより、どんな移調楽器でも、記譜と演奏されるピッチをあわせることができます。

このキー+の情報は、Cakewalkプロジェクトファイル（.cwp）には保存できますが、スタンダードMIDIファイル（.MID）には保存できません。スタンダードMIDIファイル形式で保存した場合は、キー+の値に合わせて個々のノートイベントがトランスポーズされますので、曲自体は同じピッチで聴こえますが、キー+自体の情報は失われてしまいます。スタンダードMIDIファイルを読み込んだ場合は、移調楽器のトラックについてトランスポーズを設定し直した後、Cakewalkプロジェクトファイル（.cwp）の形式で保存してください。まず、移調楽器の調号に合わせてキー+を補正した後、トランスポーズコマンドを使い、個々のノートイベントについてキー+の補正分を戻してください。