イベントの伸縮

曲の一部を伸縮するには、プロセス > 長さコマンドとプロセス > タイムにフィットコマンドを使用します。プロセス > 長さコマンドは、任意の範囲内のイベントの始点タイム（発音開始位置）や各音符の長さ（デュレーション）に、特定の比率を掛けて伸縮させることができます。200%を指定すると選択範囲が元の長さの2倍になり、50%を指定すると選択範囲が元の長さの半分になります。

プロセス > タイムにフィットは、選択範囲を小節：拍：ティックまたは時：分：秒：フレームで設定された特定の時間で終了するように伸縮します。イベントのタイムを変更するか、テンポマップを変更するかを選択することができます。このコマンドはプロジェクトの一部を正確な長さに合わせる際に有効です。選択範囲の始点タイムは変更されませんが、終点タイムは必要に応じた時間間隔に合わせて変更されます。

これらのコマンドのどちらも、選択範囲に含まれるオーディオイベントをMIDIイベントに合わせて変更するかどうかを、オプションで指定することができます。オーディオクリップのスピードを変えたくない場合もあります。

たとえば以下のような場合です。

プロジェクトにナレーションとBGMが存在する場合にナレーションのテンポを変えずにBGMのテンポをナレーションに合わせたい場合。

ドラムループがオーディオトラックに録音されていて、このテンポはそのままに、その他のMIDIイベントをドラムトラックのテンポに合わせたい場合。

オーディオによる効果音のソロがあり、この効果音を変更したくないような場合。

オーディオは4倍または4分の1まで伸縮することができます。言い換えると、縮める場合は元のサイズの25%まで、引き延ばす場合には元のサイズの400%まで指定できます。オーディオストレッチを選択する場合には、変更比率は元の長さの25%から400%の間になるよう設定してください。

プロセス > 長さコマンドを使用する場合に開始タイムと音の長さのどちらか一方だけ選ぶと別の効果が得られます。例えば、音の長さのみを元の長さの50%に変えると、スタッカート演奏の効果が得られます。

パーセンテージを指定して伸縮させる方法

1.	伸縮するクリップを選択します。

2.	メニューからプロセス > 長さコマンドを選択し、長さダイアログを表示します。

図335. 長さダイアログ

3.	選択したイベントの変更する項目を、開始タイム、音の長さの各チェックボックスをオンにして選択します。

4.	選択したオーディオクリップを伸縮する場合には、オーディオストレッチチェックボックスをオンにします。オーディオをストレッチするときは、方法を以下のオプションで指定します。ただしグルーブクリップはストレッチできません。

タイプ：オーディオデータのタイプを指定します。単一のボイスまたはインストゥルメントであるか、グループのインストゥルメント（アンサンブルや和音）であるか、どれぐらいの時間を処理にあてるかに応じてオプションを選択します。複数のトラックを処理する場合、品質を良くするには処理時間を長くします。

フォルマントスケーリング：指定可能な範囲は-2.000～2.000オクターブです。フォルマントスケーリングは、ピッチシフトによる声質の変化を補正します。タイムストレッチで声質が変わってしまうような場合には、この値を調整してみてください（Producer Editionのみ）。

5.	長さを変更する量を数値で入力するか、+/-ボタンをクリックして設定します。

6.	完了したらOKをクリックします。

選択されたイベントの長さが、各項目の設定にしたがって修正されます。

長さを指定して伸縮させる方法

1.	伸縮するクリップを選択します。

2.	メニューからプロセス > タイムにフィットコマンドを選択し、タイムにフィットダイアログを表示します。

図336. タイムにフィットダイアログ

3.	新規終点の項目に伸縮する位置を数値で入力するか、+/-ボタンをクリックして設定します。このときフォーマットボタンをクリックすると、タイム形式が小節：拍：ティックと時：分：秒：フレームの間で切り換わります。

4.	次のうち1つを選びます。

テンポマップ：テンポを変えて音符やイベントの長さを変えたくないときに選択します。たとえば、もしクリップに4分音符が含まれていて、クリップの時間が変わっても4分音符のままにしたい時に、テンポマップを選びます。テンポは変わりますが、トラックのイベントは変わりません。

イベントタイム：テンポは変えずに音符の長さやイベント開始の時間を変えたい場合に選択します。

メモ：選択範囲にグルーブクリップが含まれていると、このオプションは指定できません。

5.	選択したオーディオクリップを伸縮する場合には、オーディオストレッチチェックボックスをオンにします。オーディオをストレッチするときは、方法を以下のオプションで指定します。ただしグルーブクリップはストレッチできません。

タイプ（オーディオストレッチをオンにした場合にのみ使用可）：単一のボイスまたはインストゥルメントであるか、グループのインストゥルメント（アンサンブルや和音）であるか、どれぐらいの時間を処理にあてるかに応じてオプションを選択します。複数のトラックを処理する場合、品質を良くするには処理時間を長くします。

フォルマントスケーリング：指定可能な範囲は‑2.000～2.000オクターブです。フォルマントスケーリングは、ピッチシフトによる声質の変化を補正します。タイムストレッチで声質が変わってしまうような場合には、この値を調整してみてください（Producer Editionのみ）。

6.	完了したらOKをクリックします。

選択されたイベントの長さ、またはテンポマップが、各項目の設定にしたがって修正されます。

MIDIクリップをストレッチする

 

1.	トラックの編集フィルターコントロールをクリップに設定します。

2.	次のいずれかを実行します。

スマートツール を使用して、Ctrlキーを押しながらクリップの前半分にポインタを置き、ドラッグして始めをストレッチするか、クリップの後半分にポインタを置き、ドラッグして終わりをストレッチします。

タイミングツール を使用して、クリップの前半分にポインタを置き、ドラッグして始めをストレッチするか、クリップの後半分にポインタを置き、ドラッグして終わりをストレッチします。

エディットツール を使用して、Ctrlキーを押しながらクリップの前半分にポインタを置き、ドラッグして始めをストレッチするか、クリップの後半分にポインタを置き、ドラッグして終わりをストレッチします。

クリップの端が黄色になります。これは、クリップをドラッグするとストレッチされることを示します。

ドラッグする間、ストレッチのパーセンテージ（25%～400%）を示すクリップアイコンが、クリップの右上に表示されます。

 

メモ：MIDIグルーブクリップをストレッチすることはできません。MIDIグルーブクリップをストレッチするには、先にクリップのグルーブクリップ ループプロパティを無効にする（クリップを選択してCtrl+Lを押す）か、グルーブクリップを新しい通常のMIDIクリップにバウンスする（トラックビューのクリップ > クリップにバウンスコマンドを使用する）必要があります。

ノートイベントをストレッチする

ピアノロールビューとインラインピアノロールでは、選択したすべてのノートの長さをストレッチすることができます。

1.	トラックの編集フィルターコントロールをノートに設定します。

2.	ストレッチするノートイベントを選択します。詳細については、MIDIノートを選択するを参照してください。

3.	次のいずれかを実行します。

すべてのノートを比例的にストレッチする：スマートツール を使用して、ノートを分割する位置にポインタを置き、Ctrlキーを押しながら、選択したノートの末尾をドラッグします。

すべてのノートを同じ絶対長にストレッチする：スマートツール を使用して、ノートを分割する位置にポインタを置き、Shiftキーを押しながら、選択したノートの末尾をドラッグします。

 

ヒント：ノートイベントをストレッチすることにより、3連符を簡単に作成することもできます。まず、必要な数のノートを入力して、これらを選択し、Ctrlキーを押しながら、選択したノートの末尾をドラッグします。たとえば、4分音符を5個入力し、4分音符4個分のスペースに合うようにこれらをストレッチします。

高いサンプリングレートのオーディオはMPEX処理時に6dB増幅される

88.2kHz以上のサンプリングレートの設定でお使いのとき、MPEXによるタイム/ピッチストレッチ処理が伴う操作を行うと、オーディオが6dBブーストされます。