トランジェントマーカーを編集する

クリップのトランジェント（レベルが変化するタイミング）にトランジェントマーカーが表示されます。トランジェントマーカーはオーディオクリップのタイミングを編集するときに使います。

AudioSnapではトランジェントが自動的に検出されますが、編集しようとしている対象によっては、適切な場所にトランジェントマーカーがないこともあります。

自動検出されたトランジェントマーカーでは満足する結果を得られないときは、マーカーを手動で編集することができます。

マーカーは、新しい場所への移動、追加、フィルターでの除去、固定（フィルターがかからないように保護する）などを使って編集することができます。

図295. トランジェントマーカー

ストレッチされたセグメントの波形は青色で表示され、圧縮されたセグメントの波形は赤色で表示されます。セグメントがストレッチまたは圧縮された度合いが大きくなるほど、色が濃くなります。

濃い青 = 少しストレッチされた場合

明るい青 = 大幅にストレッチされた場合

濃い赤 = 少し圧縮された場合

明るい赤 = 大幅に圧縮された場合

図296. AudioSnapの波形は色分けされ、ストレッチされたものか圧縮されたものかを示しています。

A：ストレッチされたセグメントは青色 B：圧縮されたセグメントは赤色 C：通常のセグメントは黒色 

 

関連項目：

トランジェントマーカーを選択する

隣接する複数のトランジェントマーカーを選択する

不連続な複数のトランジェントマーカーを選択する

複数のクリップ内の同じトランジェントを選択する

マルチトラックのマーカー選択の範囲を拡張する

クリップ内の類似したトランジェントマーカーをすべて選択する

オーディオをストレッチせずにトランジェントマーカーを移動する

トランジェントマーカーをドラッグしてオーディオをストレッチする

クリップ内の複数のトランジェントマーカーをストレッチする

クリップ内の複数のトランジェントマーカーを比例的にストレッチする

トランジェントマーカーをリセットする

トランジェントマーカーを無効にする

トランジェントマーカーを削除する

新しいトランジェントマーカーを挿入する

あるトラックから別のトラックへトランジェントマーカーをコピーする

トランジェントマーカーを有効/無効にする

次/前のトランジェントに移動する（Tabキーでプロジェクト内を移動）

トランジェントマーカーの表示

トランジェントマーカーのコンテキストメニュー

トランジェントマーカーを選択する

1.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

2.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

3.	目的のトランジェントマーカーをダブルクリックします。

マーカーが反転表示されます。

クリップ内のすべてのトランジェントマーカーを選択/選択解除する

1.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

2.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

3.	クリップを右クリックし、ポップアップメニューでマーカーの選択 > すべてを選択を選択します。解除するにはマーカーの選択 > 表示しないを選択します。

隣接する複数のトランジェントマーカーを選択する

1.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

2.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

3.	次のいずれかを実行します。

目的のトランジェントマーカーを領域選択します。

範囲内の最初のマーカーをクリックし、Shiftキーを押したまま範囲内の最後のマーカーをクリックします。

マーカーが反転表示されます。

不連続な複数のトランジェントマーカーを選択する

1.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

2.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

3.	Ctrlキーを押しながら目的のトランジェントマーカーをクリックします。

マーカーが反転表示されます。

複数のクリップ内の同じトランジェントを選択する

1.	編集するクリップを選択します。

2.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

3.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

4.	選択した任意のクリップ内のトランジェントマーカーをダブルクリックします。

選択したすべてのクリップ内で同じ位置付近（定義したタイムウィンドウの範囲内）にあるトランジェントマーカーがすべて選択されます。

メモ1：どのクリップも選択されていない場合、すべてのクリップのトランジェントマーカーが選択可能になります。

メモ2：タイムウィンドウのサイズを指定するには、AudioSnapパレットのAudioSnapオプションボタン をクリックしてAudioSnapオプションダイアログを開き、目的のウィンドウ値を指定します。

マルチトラックのマーカー選択の範囲を拡張する

マルチトラックのインストゥルメントの編集時には、複数のトラックにわたってトランジェントの範囲を同時に調節することが必要な場合があります。そのためには、編集するトラックと時間範囲を選択する必要があります。

1.	編集するクリップを選択します。

2.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

3.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

4.	選択した任意のクリップ内のトランジェントマーカーをダブルクリックします。

選択したすべてのクリップ内で同じ位置付近（定義したタイムウィンドウの範囲内）にあるトランジェントマーカーがすべて選択されます。

5.	Ctrlキーを押しながら、選択した任意のクリップ内の別のトランジェントマーカーをダブルクリックします。

選択したすべてのクリップにわたって、範囲またはトランジェントマーカーが選択されます。

クリップ内の類似したトランジェントマーカーをすべて選択する

1.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

2.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

3.	目的のクリップを右クリックして、ポップアップメニューから次のオプションを選びます。

マーカーの選択 > 移動したマーカーを選択

マーカーの選択 > ストレッチされたマーカーを選択

マーカーの選択 > 無効のマーカーを選択

マーカーの選択 > 有効のマーカーを選択

マーカーの選択 > 固定

マーカーの選択 > 追加したマーカーを選択

特定の種類のすべてのマーカーを選択すると、ストレッチされたマーカーだけをリセットしたり、無効になっているマーカーだけを固定するなどの操作が簡単になります。

オーディオをストレッチせずにトランジェントマーカーを移動する

マーカーをポイントし、マーカーのハンドル（四角）をドラッグします。

図297. マーカーのハンドル（四角）をドラッグしてトランジェントマーカーを移動する

トランジェントマーカーをドラッグしてオーディオをストレッチする

マーカーの線をドラッグします。

図298. マーカーの線をドラッグしてトランジェントをストレッチする

マーカーの線をドラッグ＆ドロップすると、ドロップされた位置までマーカーが移動し、ドラッグしたマーカーから次のマーカーまでの間にあるオーディオがストレッチされます。

メモ：トランジェントマーカーをストレッチすると、該当するクリップでAudioSnapが有効になります。

ストレッチされたセグメントの波形は青色で表示され、圧縮されたセグメントの波形は赤色で表示されます。

図299. AudioSnapの波形は色分けされ、ストレッチされたものか圧縮されたものかを示しています。

A：ストレッチされたセグメントは青色 B：圧縮されたセグメントは赤色 C：通常のセグメントは黒色 

トランジェントマーカーのコンテキストメニューには、他にもマーカーを編集するためのコマンドがあります。

クリップ内の複数のトランジェントマーカーをストレッチする

1.	目的のトランジェントマーカーを選択します。

2.	選択したトランジェントマーカーのいずれかをドラッグします。

クリップ内の複数のトランジェントマーカーを比例的にストレッチする

1.	目的のトランジェントマーカーを選択します。

2.	Ctrlキーを押しながら、選択したトランジェントマーカーのいずれかをドラッグします。

トランジェントマーカーをリセットする

1.	リセットするすべてのトランジェントマーカーを選択します。

2.	選択した任意のトランジェントマーカーを右クリックして、ポップアップメニューからリセットを選択します。

トランジェントマーカーを無効にする

無効にしたいマーカーを右クリックして、ポップアップメニューから無効を選択します。

トランジェントマーカーを削除する

削除したいマーカーを右クリックして、ポップアップメニューからマーカーの削除を選択します。

メモ：削除できるのは、ユーザーの作成したトランジェントマーカーだけです。

新しいトランジェントマーカーを挿入する

1.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

2.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

3.	Altキーを押しながら、新しいトランジェントマーカーを挿入したい場所をクリックします。

新しいトランジェントマーカーが挿入されます。

または

1.	マーカーを挿入したい場所がちょうど良いスナップ位置でない場合は、スナップボタン をオフにします（またはNキーを押す）。

2.	マーカーを追加するクリップを選択します。

3.	マーカーを追加したい場所へ現在タイムを移動します。

4.	Ctrl+Alt+Iを押します。

選択されているクリップにマーカーが表示されます。手動で挿入した場合は、自動的に検出されたトランジェントマーカーよりやや短いトランジェントマーカーになります。

メモ：コマンド1つで、展開されたマーカーの線にマーカーを追加することもできます。展開されたマーカーの線でマーカーを追加するを参照してください。

図300. 手動で挿入した場合は、自動的に検出されたトランジェントマーカーよりやや短いトランジェントマーカーになります。

A：無効になっているマーカー（グレー、短い） B：自動的に検出されたマーカー（長い） C：手動で挿入されたマーカー 

あるトラックから別のトラックへトランジェントマーカーをコピーする

1.	コントロールバーでスマートツール を選択します。

2.	トラックの編集フィルターコントロールをオーディオトランジェントに設定します。

AudioSnapパレットが表示され、すべてのオーディオクリップにトランジェントマーカーが表示されます。

3.	ターゲットクリップ（マーカーのコピー先とするクリップ）を選択し、すべてのトランジェントマーカーが無効として削除されるまで、AudioSnapパレットのスレッショルドスライダーをドラッグします。

4.	ソースクリップ（マーカーのコピー元とするクリップ）とターゲットクリップの両方を選択します。

5.	選択したクリップのいずれかの上で右クリックし、ポップアップメニューから選択マーカーのマージ、ロックを選択します。

ソースクリップのトランジェントマーカーが、ターゲットクリップにコピーされます。

トランジェントマーカーを有効/無効にする

クリアなグルーブを抽出したり、データを重要なマーカーにスナップまたはクォンタイズしたりできるようにするために、マーカーのうちのいくつかを無効にすることが必要になる場合があります。マーカーを無効にすることは、データを間引いて、グリッドがわかりやすいようにするための方法の1つです。また、オーディオのクォンタイズでストレッチさせたくないトランジェントがストレッチしないようにすることもできます。無効になったマーカーは削除されませんが、AudioSnap機能では無視されます。無効のマーカーの先頭だけが表示されます。

選択されたクリップのトランジェントマーカーの有効/無効を切り替える方法はいくつかあります。

AudioSnapパレットの分解能ドロップダウンリスト：選択した分解能の値で、タイムの位置に基づいてマーカーを無効にできます。これで不要なマーカーが消去され、編集が簡単になります。値を大きくすると小節/音符単位によってタイムウィンドウが大きくなり、表示されている小節/音符に一番近いマーカーが残り、その他のマーカーが無効になります。

メモ：分解能の設定が信頼性を持って働くのは、オーディオクリップの内部テンポマップが正確である場合に限られます。詳細については、クリップのテンポマップを編集するを参照してください。

AudioSnapパレットのスレッショルドスライダー：レベル変化量により一部のマーカーを無効にします。右へドラッグすると、大きなレベル変化のマーカーだけが残ります。

トランジェントマーカーのコンテキストメニュー：無効にしたいマーカーを右クリックして、ポップアップメニューから無効を選択します。

Ctrl+Alt+Dを押すと、選択したすべてのマーカーが無効または再度有効になります。

ヒント：スレッショルドスライダーでマーカーが無効にされないように保護したいときは、マーカーを右クリックして、トランジェントマーカーのポップアップメニューから固定オプションを有効にします。無効になっているマーカーを固定して、スレッショルドスライダーで有効にできないようにすることができます。

次/前のトランジェントに移動する（Tabキーでプロジェクト内を移動）

次のいずれかを実行します。

現在タイムを次のトランジェントに移動するには、Tabキーを押します。

現在タイムを前のトランジェントに移動するには、Shift+Tabキーを押します。

メモ：Tabキーによるプロジェクト内の移動は選択ベースです。つまり、Tabキーを使用すると、選択したすべてのクリップについて次/前のトランジェントに移動します。選択されているものがない場合、Tabキー操作は現在のトラックに対して作用します。

詳細については、Tabキーでプロジェクト内を移動を参照してください。

トランジェントマーカーの表示

各トランジェントマーカーは、選択、移動、新規作成、無効など、マーカーの状態によって表示が変わります。マーカーのハンドルは、マーカーをポイントしたときにのみ表示されます。

マーカーの表示と意味する状態は以下のとおりです。

表 127. トランジェントマーカーの形状と色

マーカーの表示方法	説明
白い枠のひし形	標準のマーカー。
黄色いひし形	ユーザーが挿入、作成したマーカー。
暗い黄色	選択されているマーカー。
グレーの短いマーカー	無効になっているマーカー。

トランジェントマーカーのコンテキストメニュー

トランジェントマーカーのコンテキストメニューは、トランジェントマーカーを右クリックすると表示されます。各コマンドの内容は次のとおりです。

表 128. トランジェントマーカーのコンテキストメニューコマンド

コマンド	説明
リセット	マーカーを元の位置に戻します。キーボードショートカットはCtrl+Alt+Rです。
無効	このマーカーは無視されます。キーボードショートカットはCtrl+Alt+Dです。
固定	マーカーを「固定」すると、特定のビートを強調し、分解能やスレッショルドコントロールでマーカーが無効にならないようにすることができます。キーボードショートカットはCtrl+Alt+Pです。
マーカーの削除	手動で挿入したマーカーを削除します。自動作成されたマーカーには実行できません（コマンドがグレーで表示されます）。キーボードショートカットはCtrl+Alt+Backspaceです。
近くのマーカーにスナップ（ストレッチ）	マーカーを展開された最も近いマーカーまで移動しオーディオをストレッチします。 メモ：トランジェントマーカーはタイムルーラーや他のトランジェントマーカーにスナップすることもできます。詳細については、展開されたマーカーにタイムルーラーを追加するとオーディオの拍にスナップを参照してください。
前のマーカーにスナップ（ストレッチ）	マーカーを、直前にある展開されたマーカーまで移動しオーディオをストレッチします。
次のマーカーにスナップ（ストレッチ）	マーカーを、直後にある展開されたマーカーまで移動しオーディオをストレッチします。
ストレッチ	マーカーを任意のタイムに移動し、オーディオをストレッチします。
移動	マーカーを任意のタイムに移動します。
拍のプレビュー	次のマーカーまで再生します。デフォルトのキーボードショートカットはCtrl+Shift+スペースキーです。
拍を分割	そのマーカーと、次のマーカーでクリップを分割します。
AudioSnapパレット	AudioSnapパレットを開きます。パレットを表示するためのキーボードショートカットはAlt+Aです。

 

関連項目：

AudioSnapトランジェントマーカーでグローバルツールを使用する

AudioSnapパレットを使用する

オーディオクリップのタイミングを修正する

オーディオとプロジェクトのテンポを同期させる

オーディオからMIDIのタイミング情報を抽出する

一般的な編集

展開されたマーカーを使用する

アルゴリズムとレンダリング