指でギターの弦をはじく時、弦の全体がある一定の率で前後に動き始めます。弦が一秒間に前後に動いた回数を周波数とよびます。周波数はHz(ヘルツ)という単位を用いてあらわされます。音の周波数は非常に高いため、kHz(キロヘルツ:ヘルツの1000倍)で表されることもあります。実際に弦が動く幅のことを、振幅と呼びます。この幅は、どれほど激しく弦がはじかれるかに比例します。振幅が大きいほど、強い音になります。ピックによってはじかれた弦は、元の位置に向かって戻り始めると、元の位置を通過してそのまま反対側の限界まで動きます、さらに元の位置に向かって再び戻っていきます。このパターンは、空中分子の摩擦によって熱に変換され尽くすまで、連続して繰り返されます。弦が振動すると、周りの空気分子も同様に振動します。振動は音波として空気中を伝搬します。その振動が耳に入ると、それによって鼓膜が振動します。これによって音が聞こえるのです。同様に、振動している空気がマイクロホンに当たったら、マイクロホンが振動して、そして電気の信号が送られます。弦の単純な前後の動きが、音を作り出す唯一の動きなのであれば、すべての弦楽器は恐らくほぼ同じ音に聞こえるでしょう。しかしながら、実際にはそうではありません。物理学の法則はそれほど単純ではないのです。実際、弦はその全部の長さの振動だけではなく、2分の1の長さ、3分の1、4分の1、5分の1といった長さでも振動します。これらの付加的な振動(倍音)は、もともとの振動(基本音)より速いですが、通常、強さにおいては弱くなります。しかしながら、私達の耳は、個々の倍音を1つ1つ聞くわけではありません。もしそうだとしたら、1本の弦で演奏された時でも、常に和音に聞こえるはずです。実際にはそうではなく、すべての振動は、複雑に複合されて音を形成し、私達の耳には1つの音色として聞こえます。
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