オプションセクションでは、録音と再生に影響するさまざまな設定を指定できます。オプションセクションには、次の設定項目があります。
ドライバモード:WASAPI、WDM/KS、ASIO、またはMMEから選択できます。お使いのオーディオデバイスの対応状況に合わせて設定してください。WDM/KSは、“Kernel Streaming”(KS)という仕組みを使って、高いオーディオ性能を発揮します。MMEは互換性の高いモードですが、レイテンシは大きくなります。ASIOでもWDM/KSと同等のオーディオ性能で利用できます。いずれのモードでも使用可能なオーディオデバイスでは、ASIOモードでの使用を推奨します。
ディザリング:高いビット数のデジタルオーディオを低いビット数に変換する際は、元の信号には含まれない量子化ノイズやひずみが加わるのを防ぐためにディザリング処理をすることが必要です。ディザリング処理では、量子化ノイズやひずみを軽減するために、ごくわずかなノイズや、あるいは「ディザ」信号を加えます。ディザ信号にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴をもっています。SONAR Producer Editionには、高ビットのオーディオを音楽CDに使われる16bitにダウンコンバートする際に、ダイナミクスを維持しつつノイズの少ない最適化されたオーディオを生成することのできるPow-r(Psychoacoustically Optimized Wordlength Reduction)ディザリングが搭載されています。ディザリングを有効にしているときは、高ビットのプロジェクトからオーディオファイルをエクスポートする、ユーティリティ|オーディオフォーマットの変更コマンドで、プロジェクトのビット数を低くする、バウンス、フリーズ、エフェクトの適用といったオーディオのレンダリングの際にディザリングの処理が行われます。このオプションがNone以外になっていると、ディザリングがオンになります。録音、インポート、レンダリング(バウンス、フリーズ、エフェクトの反映)のビットオーディオのビット数は、編集|環境設定|ファイル|オーディオデータで、エクスポートのビットオーディオのビット数は、オーディオのエクスポート・ダイアログボックス(ファイル|エクスポート|オーディオ・コマンド)で指定できます。SONAR Producer Editionでは、以下の種類のディザリングを使用することができます。
Rectangular:典型的なホワイトノイズを使用します。
欠点:相互変調ひずみが比較的大きい。
Triangular:Rectangularより強いホワイトノイズを使用します。
利点:低CPU負荷、Rectangularより小さい相互変調ひずみ。レンダリングなど繰り返しディザリング処理をする(バウンス/フリーズ)場合はPow-rよりもよい。 欠点:Pow-rよりもS/N比が悪い。
Pow-r 1(Producerのみ):特徴的なスペクトルのノイズ。
利点:Pow-r 2/3より低CPU負荷、聴感上はRectangular/Triangularより高S/N比。 欠点:Pow-r 2/3よりも聴感上のノイズが大きい、レンダリングなど繰り返しディザリング処理をする(バウンス/フリーズ)場合は不適。
Pow-r 2(Producerのみ):特徴的なスペクトルのノイズ。
利点:聴感上のノイズは最も小さい。もっとも高音質が期待できる。オーディオのエクスポートなどに適。 欠点:高CPU負荷、レンダリングなど繰り返しディザリング処理をする(バウンス/フリーズ)場合は不適。
Pow-r 3(Producerのみ):CPU負荷を除いて、Pow-r 2と同じ傾向。
バックグラウンド時にドライバを解放する:SONARが停止中で、他のオーディオ・アプリケーションのバックグラウンドで動作しているとき、他のアプリケーションでオーディオデバイスを使用できるようにオーディオエンジンの停止を許可します。SONARをReWireホストとして動作させる場合は、このオプションにチェックしないでください。
マルチプロセッサの処理を有効にする:このオプションは、マルチプロセッサ(またはハイパースレッディング対応プロセッサ)を搭載したコンピューターでのみ有効になります。このオプションにチェックをすると、SONARのオーディオエンジンはDSPの処理タスクを各プロセッサに分散します。オフの状態でも、2つのCPUはオーディオエンジン以外の処理で使用されます。
MMCSSを使用する:オンにすると、優先度高いスレッドとして動作します。
常にオーディオデータをFXに送出:いずれかのトラックまたはバスにアクティブなプラグインエフェクトが含まれている場合、トラックにオーディオデータがなかったり、インプットモニター/Thruがオンであったとしても、オーディオエンジンがアクティブになり、エフェクトからは無音が流れます。一般に、このオプションはエフェクトを含む空オーディオトラックが多く入ったプロジェクトを再生する場合、CPU処理をいくらか節約するには、このオプションをオフにします。このオプションを有効にすると次のようなメリットがあります。
常にすべてのデバイスをオープンする:オンにすると、オーディオエンジンの動作開始時に、SONARから使用可能なオーディオデバイスのすべてをオープンします。プロジェクトで使用されていないオーディオデバイスに対しては無音の情報を送り続けます。これにより、再生中に新たなメインを使用する場合でも音切れが発生しなくなります。
録音時にDCオフセットを除去:録音時に、オーディオに含まれるDCオフセットを除去します。詳細については、DCオフセットの除去を参照してください。
再生中インプットモニターを無効にする:このオプションは初期設定ではオフです。有効にすると、再生中すべてのトラックでインプットモニターを有効にしますが、録音中は無効になります。
オーディションタイム [sec]:オーディオデータの編集ダイアログや、オーディオFXの設定ダイアログでオーディション・ボタンをクリックした際の試聴時間を設定します。
録音用ファイル領域の確保 [sec]:このオプションに0より大きな値を設定すると、指定したサイズ(秒単位)の録音したいファイルの領域をあらかじめ割り当てておくことができます。これにより、録音中に割り当てたサイズになるまで変更ができなくなります。録音中にディスクの動作が低減する可能性があり、複数のトラックに対応します。有効な範囲は、0から14400秒までで、デフォルト値は0です。推奨値は10分(600秒)から30分(1800秒)までです。
演奏開始時にフェードイン [msec]:このオプションに0より大きな値を設定すると、再生開始時に指定した時間をかけて徐々にフェードインします。有効な範囲は0~100000で、デフォルト値は0です。
演奏停止時にフェードアウト [msec]:このオプションに0より大きな値を設定すると、再生停止時に指定した時間をかけて徐々にフェードアウトします。有効な範囲は0~100000で、デフォルト値は0です。
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